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映画『エクソダス:神と王』

リドリースコット監督、旧約聖書の出エジプト記が原作のモーゼ物語。

モーゼのことは映画『十戒』の海割れシーンとシナイ山での十戒のことしか知らなかったので、冒頭から分からないことだらけ。誰でも知ってることを前提にストーリーが展開する。事前にネットでいろいろと調べてから観ればよかったと後悔。

少なくともオフィシャルサイトで予習すればよかった。

オフィシャルサイトのエジプト学者による歴史解説によると、ラムセス2世の治世は67年間続き、数多くの偉業を達成した。エジプトの全盛期は彼の功績。金のための戦争をして領土を広げ、侵攻した土地の民をエジプトに連れて帰って孫子の代まで奴隷として労働力を確保した。

ウィキペディアを調べればよかった。

ウィキによると、183cmの長身。24歳で即位し、66年間統治し、90歳で没したとされる。養子も含めて非常に子がいる(111人の息子と69人の娘)。治世の前半期はヒッタイトとパレスチナで長年戦争を続けたが、治世21年目に、世界史で最初の平和条約を結んで休戦し、ラムセス2世はヒッタイト王女を王妃に迎えた。またラムセス2世は戦勝の記念碑を多く築き、現在もっとも記念碑の多く残るファラオとなっている。

そんな立派な王なのに、この映画では先代王の父でさえモーゼの方が優秀だと認めているし、ラムセス2世自身も父と比して自分が劣っていることを自覚していることがわかる描写になっている。しかも即位式でも周囲の目を気にしているような小心者で、悪徳代官の悪行を見抜けず口車に乗ってしまう。そしてモーゼを陥れて追放し、王宮建設のために奴隷をこき使っている悪王ぶりで、権威は空回りして威厳を感じない。

対するモーゼについても、予備知識として重要なのは、モーゼの出自とエジプトの10の災害。知らなかったとしても映画の中で語られていくのだが、シナリオ的には周知の事実を映像でなぞる感じなので、やはり知っておいてから観るべきだった。こう解釈もあるのかと思いながら面白く観れる。

しかし、モーゼにもユダヤの王たる威厳はそれほど感じない。エジプトを追放されたあとはごく普通の羊飼いとして良き夫であり父である。神の啓示をうけてエジプトに戻るときもなんら神々しさもない。エジプトでユダヤ民のなかで戦闘の陣頭指揮をとっていてもユダヤの長老の風格に負けている。エジプトを脱出後に山岳地帯で進むべき道を迷うときの苦悩などとても弱々しい。全体として、モーゼの王として偉大さよりも、人間的苦悩を描いている。

それでも物語は旧約聖書の流れにそって淡々と進み、歴史物語の大スペクタクルを見事な特撮で見せていく。とくにエジプトの巨大建築とユダヤ民の集落のCGは圧巻。戦闘シーンや10の災害の視覚効果は抜群。

残念なのはユダヤの神を男児として描いたこと。幼き人間の姿では、神への畏敬を感じない。石板に十戒を刻むシーンは神とは思えない。キリスト教の神とユダヤ教の神が同じはずなのに、リドリー・スコットの考える神はイエスを導いてのちに三位一体化した神とは別のように思える。

そして、海割れシーンは大津波の前の引き潮として描いているということだが、東日本大震災の記憶がまだ新しい日本では、あの巨大すぎる津波映像はいただけない。それに気象現象だけで津波が起こることがあるのだろうか。津波が起こるためにはやはり海底で地震が起こらないといけないのではないか。あの大津波に飲み込まれて二人とも生きているのは、おかしすぎる。

見終わったあと、なんとなくすっきりしない、なんか後味わるい。子どもの頃にテレビで観ただけの映画『十戒』(すいません、監督知りませんが、主演はチャールトン・ヘストンとユル・ブリンナー)を観たくなった。

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